久しぶりにしっとりと朝から雨が降っている気がする。
外に出ている時の雨は嫌いだが、家にいる時の雨は好き。
部屋の中に静かに響く雨音
水を跳ねる車の音
軒下からポタポタ落ちる雫の音
それらを聴きながら文章を書いたり、歌詞を書いたり
ソファでうたた寝したりするのは大好き
子供の頃から、傘が大嫌いだった
なぜかというと、片手が塞がるから
子供の頃は両手で傘を支えないといけなかったので、完全に手の自由は傘に奪われる形になる
それがただただ嫌だった
学校の帰り道
道端の花を摘みたくても、野良猫に触りたくても、ポケットからお友達にもらった手紙を出したくても
傘を持っているせいで何もできない
それが嫌で嫌で、傘をわざと忘れて帰った
雨の中、傘もささず、ただ濡れながら帰っていた
きっと周りからは「可哀想に」とか思われていただろうし
「おかしいのかな?」と言われていたかも知れないけれど
そんなのお構いなしだった
その傾向はなんと大人になっても続いていて、極力傘を持たずに済むように生きている
ちょっとの距離なら今でも濡れてしまった方がいいと思う
NYに住んでいた頃は、それは当たり前だった
ニューヨーカーって傘ささないんだよね、マジで
みんな雨の中に小走りで突入する、フードを被ったり、鞄を頭の上に乗せたりして
日本に帰ってきてもそれは変わらず、いまだに傘をささず移動している
どうしても必要な時は、仕方なく持つんだけど
でもやだな、やっぱり傘は嫌い。
じゃあレインコート派なの??
と言われるとそれもなくて笑
子供の頃は母がレインコートを着せてくれたし、脱がせてくれてた
出かける時は「濡れるから着ていきなさい」
帰ってきたら「まぁまぁこんなに濡れちゃって、タオルで拭くから待ってなさい」
レインコートって、守られてる感じするのは、そういう思い出があるからかも知れないな。
本当はレインコートもいらないけど、誰かに心配されて着せられて、脱がされる。
それをただ人形のように、言われるがまま受け入れる。
雨に打たれて冷え切った体を、熱い湯船に浸からせられて。
「どうしてあなたは雨に濡れて帰るのかしらね」と母がため息まじりに言う。
私はその一連の流れに、愛を感じていたのかも知れない。
『レインコート』 作詞作曲 EARSY
夢なら覚めないで このままそばにいて
忘れられなくなるような キスをなぜ重ねるの?
細い雨が長い 夜を終わらせないように
甘い言葉だけが うわべだけなぞってく
それでもいいだなんて バカだなって笑ってよ 痛いほど抱きしめて
濡れたままの レインコートを脱がせて ねぇ
何も知らなくていい 何も求めたりしない
ただ雨に濡れた私を抱いて
何も言わなくていい 何もかも忘れさせて
誰も私を知らないこの街で ただのひとりの女でいさせて
傘は嫌いだった 自由を奪われるから
肌を流れる雨粒を 感じながら歩くの
子供みたいだなって笑ってくれるなら それだけで満たされる
目に見えない レインコートを脱がせて ねぇ
抱き合うたびにきっと 何かが壊れてしまう
激しい雨音にかき消されて
聴こえなかった言葉 ねぇ今なんて言ったの?
誰も私を知らないこの街は まるで嘘のように 明日は晴れるの
重なり合う時間は ただ隙間を埋めるだけ
雨に濡れれば剥がれ落ちていく
また繰り返さないように レインコートを着させて
誰も私を知らないこの街で ただのひとりの女でいさせて
2023/1/4に作った新曲
ツアーでお披露目いたしますね。